皆さんもご存じの通り、長年の間 『究極の美容ジェル』 で利用していた精油、ゼラニウムエジプトが再度日本に戻ってきたことは、メディカルアロマを日々のセルフケアに利用する私たちにとってとても嬉しいことです。

けれどこのゼラニウムエジプトが一時的に長期欠品になったおかげて、日頃日の当たらなかった精油、ゼラニウムブルボンの素晴らしさを知り、改めてメディカルアロマに利用する精油の成分の重要性を認識できたとも言えるでしょう。

この20~30年のアロマテラピーブームにあやかって、“ゼラニウムという精油”としてこの日本では知らない人がいないほどの人気となりましたが、トリートメントやマッサージを含む、あくまでも香りによる癒し効果の世界での人気であったことから、ゼラニウムならどれでも良い、またゼラニウムという精油の中からさらに“自分の好きな香りのゼラニウム”を選んで香りをブレンドするという楽しい趣味が生まれました。

どこからともなく「ゼラニウムが虫よけに良い」という間違った情報まで現れ、間違ったまま今でも語られている現実も、もしかしたらその種類の多さゆえに厳密に成分の作用を考慮していない情報が独り歩きした可能性があります。

精油の分子の一つに、テルペン系アルデヒド類シトロネラールという “昆虫忌避作用(ノミ・ダニ・蚊)” を有する成分分子があります。
この名称の通り、“シトロネラ…”と付くことから、当然ながらシトロネラという精油にもこのシトロネラールが含有されていますが、これすなわちシトロネラという精油が虫よけに良いとは言えない理由があります。
実際のシトロネラという精油の成分表を見てみると、シトロネラールは5%にも満たない含有量であり、またその分子構造をエタノールで分解してしまうことで、虫よけ効果も何もないスプレーを作っているということになります。
皆さんもご存じの通り、シトロネラールを最も多く含有しているのは精油のレモンユーカリ(ユーカリレモン)だけです。

もう一つの「間違った情報が独り歩きしてしまった」理由の一つを、下記のゼラニウムという植物の種類の中から推察することも容易です。
ゼラニウムの一つ、“シトロネラゼラニウム”があります。
メディカルアロマでは、必ず成分を確認しなければ、目的に沿った利用はできないことを再認識させてくれます。

さて、貴方が使っている、または教えているゼラニウムはどの種類に当たるでしょう?
ゼラニウムと一概に言っても、ローズ、レモン、ペパーミント、その他チョコレートやフルーティな香りのゼラニウムが存在します。
いろいろな利用法はありますが、ハーブとして、アロマとして、香りを楽しむための香り袋やアロマポットへも、そして食品としてはクッキーの香りづけ、葉っぱ刻んでバターやアイスクリームにしたり、世界では様々な利用法があります。

その葉っぱの形でも分類されています。
ほとんどがフウロソウ科の多年草です。

【葉の形による分類】  1)ファーンリーフ型

ドクターリビングストンゼラニウム
ブルボンゼラニウム
フィリシフォリュームゼラニウム
ミセスティラーゼラニウム
シエルプランドローズゼラニウム
ミセスジョイレッドゼラニウム
オーシャンウエーブゼラニウム


【葉の形による分類】  2)オークリーフ型
ミセスティラーゼラニウム
メープルリーフゼラニウム
ベパーミントゼラニウム


【葉の形による分類】  3)ハートリーフ型
プリンスルパートゼラニウム
アッブルゼラニウム
シトロネラゼラニウム
オールドスパイスゼラニウム
レモンゼラニウム
ペパーミントゼラニウム


【葉の形による分類】  4)ラウンドリーフ型
ブリリアント
シナモンゼラニウム
クロリンダゼラニウム
ジンジャーゼラニウム
ナツメッグゼラニウム


その他ゼラニウムにはオシャレな名称がつけられています。

【その他の様々なゼラニウム】

ブルボンゼラニウム(ゼラニウムブルボン)
ローズゼラニウム
デンタタゼラニウム
アターオブローズゼラニウム
オーシャンウェーブゼラニウム
スノーフレークゼラニウム
ブリリアント
シェルブランドローズゼラニウム
ローズレッドゼラニウム
ミセスティラーゼラニウム
ミセスジョイレッドゼラニウム
ペパーミントゼラニウム
ペパーミントローズゼラニウム
班入りペパーミントゼラニウム
チョコレートペパーミントゼラニウム
リリアンポッテンガーゼラニウム
パンジェントペパーミントゼラニウム
ジョイルシールゼラニウム
トレーリングオークゼラニウム
レモンゼラニウム
レモンプリンスルパードバリエガタ
メーブルグレーゼラニウム
ナツメッグゼラニウム
班入りナツメッグゼラニウム
パイナップルゼラニウム
アップルゼラニウム
ドクターリビングストンゼラニウム
レモンローズゼラニウム
ライムゼラニウム
レモンバームゼラニウム
シトロネラゼラニウム
グレープリーフゼラニウム
アプリコットゼラニウム
フィリシフォリュームゼラニウム
班入りクリスピュームレモンゼラニウム
オレンジゼラニウム
ストロベリーゼラニウム
メープルリーフゼラニウム
スケルトンズユニークゼラニウム
オールドスパイスゼラニウム
ジンジャーゼラニウム
クロリンダゼラニウム
シナモンゼラニウム
その他


こんなにもゼラニウムという植物の種類があります。
さらには収穫地域や収穫時期によって、成分が異なることを考慮すると、世界には数百から数千、さらにはそれ以上のゼラニウムが毎年生まれている計算になります。
しかし、メディカルアロマではゼラニウムという精油が必要なのではなく、特定のゼラニウムという精油が含有する成分を必要としています。
成分の作用が最重要となりますことから、どのゼラニウムという精油ならば、目的に見合った効果を出すことが可能か、そしてその実績はあるのか、等々を知っておく必要があるでしょう。

1)ゼラニウムエジプト
先日よりJMAA神奈川校クラウドページ(カレンダー下)にスタートしている『精油成分作用説明シリーズ』では、再入国してくれたゼラニウムエジプトの成分の含有量を記載する予定です。
下記は何年も前のゼラニウムエジプトの含有成分の割合ですが、果たした過去のものだからもう関係ないでしょうか?
私たちが使用するプラナロム社またはKENSOブランドの精油も、製品として世に出すためにはゼラニウムエジプトという名称で出せるかどうかが問題です。
もしも収穫した際に成分があまりにも異なってしまった場合には、“香り”が異なってしまいます。
するともはやゼラニウムエジプトではなくなってしまう、そしてゼラニウムエジプトが欠品という流れになるのは明白です。

なぜならば精油は雑貨であり、香料だからです。

ゼラニウムエジプト
2)ゼラニウムブルボン

『精油成分作用説明シリーズ』② ゼラニウムブルボン Pelargonium asperum
ゼラニウムブルボン
2017年4月時点、私たちがゼラニウムをメディカルアロマに使用する目的を考慮すると、やはり上記の2種類以外は使用できません。
特に精油の名称が『ゼラニウム』のみであったり、成分分析表に農薬や防腐剤が皆無であることまで証明されていなければ、安易に体に使用できないことは、皆さんがご存じの通りです。


「母乳は血液から作られます」
だからこそ絶対的な信頼が無い限り、体への使用も試用も避けるべきです。

 

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